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「送り火」 重松清 著

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 短編9編。多分沿線から見えるだろう富士山にちなんで「富士見線」と名付けた鉄道沿線の住人達の物語。 どれもかなり面白かったです。

「かげぜん」
 幼くして死んでいった子供の現実を受け止められない妻とそれを見守る夫の話。ダイレクトメールって、事情を知らずに勝手に送りつけてくるからあるときは暴力にもなり、でも時には慰めにもなるのかな。

「シド・ビシャスから遠く離れて」
 若い頃パンクに傾倒していて過激な暴言を世間にまきちらした青年2人が、時を経てふつ~のパパになる。でもその昔の姿を見てインスパイアされた青年は反社会的なまま大人になってしまった。そんな3人が出会う話。人間、人生に折り合いつけて変わるものだよね。でもよくも悪くもブレない人もいるものですね・・・。

 「家路」
 富士見線沿線に買った念願のマイホーム。そんな家に帰りたくない人と、帰りたくても帰れない人。「おかえり」「ただいま」の言葉の重みを感じました。

「もういくつ寝ると」
 死んでしまったら見える風景は関係ないかな・・・お墓選びって難しいね。なんだかんだ言っても自分が最期に行きつく場所ではあるけど、お参りに来てくれる人の利便性を優先しちゃいがちだし。

 重松さんの本って、な~んか悲哀に満ちてるけど、暖かい。
by wenniao | 2012-01-30 10:04 | こんな本読んだ(Book) | Comments(0)
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