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「きなりの雲」 石田千 著

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 新聞批評で珍しく小泉今日子が読んだ感想を書いてあり、興味あって借りてみました。
独特の作風で、ほのぼのとしながらも主人公の気持ちがじっくり、じわじわっと伝わってくるいい小説でした。
会話でも「」が使われていません。

 40歳を過ぎ5年もの間つきあっていた「じろうくん」に「好きな人ができた」と振られてしまう主人公さみ子。精神的にかなり厳しい期間をなんとか生き延び、仕事である「編み物」をひとめひとめ編みながら前向きになっていく姿を描いています。

 さみ子みたいな女性の知り合い・・・数人頭に描きながら読んでいました。
近所の方、編み物教室の生徒、仕事仲間への暖かいまなざしがとてもいい。自分のおかれた状況がかなり厳しいにもかかわらず、人には当たらず、ギスギスせず、じっくり悲しみを内包していく強い女性像です。こんな女性を捨てるなよ、じろうくん!
 人との「距離感」をはかるのって本当に難しいと思います。それが好きな相手ならなおさらです。自分だけではなく相手の距離感もはかりながら、だから、目測を誤ることもそりゃああるよね・・・。

 私は編み物系は肩がこるし、性にあってないともっぱら遠ざけてきたけど、この歳になるとちょっと興味がでてきました。何を作りたいというのはないのだけど(笑)。
今は忙しくて教室にも通えないけど、そのうち、などと本を読んで触発されてしまいました。
by wenniao | 2012-10-12 11:35 | こんな本読んだ(Book) | Comments(0)
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