ワンちゃん」「時が滲む朝」「金魚生活」 楊逸(ヤンイー)著
初の中国人作家の芥川賞受賞として有名になった楊逸さんの3冊、一気に読みました。
思えばホント、日本の文学界ってふところが広いです。今まで、この手の内容の本は、ほとんどが翻訳されたものでした。もちろん翻訳だってよくできているとは思うけれど、やっぱり直で日本語で書かれた作品の方が読みやすいなぁ!文章のスタイルも読みやすくて好き。すっかりファンになってしまいました。 「ワンちゃん」 犬のことではありませんのよ。 私の周りの中国の方は残留孤児の親戚、留学生、主婦、会社員、などいますが、一番謎なのはこの王ちゃんのような「日本人男性と結婚して日本国籍をとった女性」です。しかもその多くが歳の離れた日本人の夫と、愛のない結婚をする中国の田舎の女性、のパターン。まさにその実体を書いた小説で、私としては大変興味深く、よく書いてくれましたっ!とうなずける作品でした。中国人女性はホントたくましいです。 この本にもう一作「老処女」という作品があります。上を目指し勉強にいそしむあまり婚期を逃し、気がつくと初老になりつつある女性の話。日本人ってそんなに「博士号」にはこだわらない気がしますが、中国人留学生はとにかくなにはなくても「博士」。凡人の私には「なんで?」と思うのだけど、彼らは頑張るよね・・・これもとても現実的で、いるなぁ~こういう人、ってドキリとしました。 「時が滲む朝」 芥川賞受賞作品。最近になってやっと「天安門事件」について公に語られることも多くなりましたね。前に「天安門の恋人達」という映画も見ましたが、空気感は似てると思いました。その時に熱かった同志。学生だった彼らも時とともに現実的になっていく。 「北京オリンピック」のボイコット運動や在日中国人集会での中国政府批判、など「中国のためを思って」いまだ活動している人がいるんだなぁ~と思いました。確かに・・・形だけ野党はいるものの実質の一党独裁はどうなのかと思いますわね・・・。でもそのおかげで今回の世界同時不況の対応は世界一早かったよ!邪魔する党がないからね~。日本みたいにすったもんだしないから(笑) 「金魚生活」 夫を亡くし、レストランに勤める主人公が店で金魚の世話を仕事にしている。娘が日本で出産することになり、手伝いに日本へやってくる。娘は中国人の夫とともに共稼ぎですぐ職場復帰しなくてはならず、赤ん坊の面倒を母親に看てもらいたいので日本人男性とのお見合いを薦める。何人かと会ってみるが、実は中国に冴えないけれど自分を必要としている人がおり・・・というお話。家で「大宝」という一度病気になったが復活した立派な金魚がおり、きっと金魚のその生き様と自分とを重ね合わせて、自分の威厳を保ったのかな~と思いました。 「老処女」を読んでいてフト疑問が。 「中国の産科医は女性が多いのか?」 主人公は更年期の症状が出て診察を受けたいのだけど、日本はほとんど男性なので、主人公はわざわざ中国に帰って受診します。どうなんだろ?早速聞いてみよ~。
by wenniao
| 2009-04-07 23:05
| こんな本読んだ(Book)
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