「ツ、イ、ラ、ク」 姫野カオルコ 著
一体何人の登場人物がでてくるんだ?いつ誰がツイラク、するんだ?と思って読み続けました。なにしろスタートは小学2年生、ずいぶん読んでいってもまだ中学・・・
子供時代の心理描写も言葉巧みに説明するので面白い。よく「これどういう意味?」と思う難しい引用があるんだけど、そんなのお構いなしにぐんぐんひっぱられてく文体が好き。姫野カオルコ、さすがに過激な部分もあるけど、純粋にドキドキするような場面も多いし、ズバッと言ってのけてくれてありがとう、という個所もあって小気味よいです。 人が「落ちていく」話は好きです。 「ハチミツとクローバー」では身近な友人が恋に落ちる瞬間を見た、という有名なフレーズがありますが、なかなかそんな場面には遭遇しません。恋であれ、悪であれ、宗教であれ・・・客観的に見られるところが小説の面白さかと思います。 読後、改めて思いました。書かれているように確かに小、中学校時代は無防備で、しかもいろんな人の保護下にいられたな、と。大人になると昔よりはソフトにガードをして牽制していられる反面自分で自分を守って行かなくてはなりません。 そしてさらに。そう、10年前の、そして20年前の30年前の年齢は、そういうことだったか、と。大人になれば成る程「あのとき何故にそうだったか・・・」とふと振り返ることがあります。過ぎてからわかる、事の大切さ、というやつです。逆に10年後、また今の自分をそう思うこともあるんでしょう。この年齢になると、それがかなり怖い。でも仕方ない。その時はそれが最良だと思っているんですからね・・・。 このお話の「その後」があるというので、是非読んでみたいです。 ツ、イ、ラ、ク (角川文庫 ひ 8-13)
by wenniao
| 2008-07-02 22:29
| こんな本読んだ(Book)
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